2011年12月14日水曜日

シチューの話

寒くなると食べたくなるのがシチューですね。
木枯らしの舞う街角、家に帰るとテーブルの上には湯気の立ちのぼるあったかいシチュー。
そしておかあさんの笑顔。
まるっきりシチューのCMそのままのイメージwですね。
このシチュー、もともとは「熱い風呂にはいる」という意味で、そこから蓋をした鍋でコトコトと肉や野菜を煮込む料理を指すようになったと。

昔のことですから、今の品種改良されて柔らかくておいしい肉、野菜じゃなかった素材をこうして煮込むことで、柔らかくし、同時にスープもとれる、無駄のない家庭料理が出発点なんですね。だから、暖炉の前とか母親とかのイメージがしっくりくるんですね。

肉はもともとリソレせずにそのまま水で煮込んでゆくものでした。硬くてどうしようもない肉ですから、それが当然ですね。すると、肉の旨味は殆どスープに出てゆきます。んで、もっと煮込むことで、今度はスープの中から逆に肉に旨みが戻ってゆきます。同時に、一緒に煮込んでいる野菜の旨みも戻るわけですね。いや~、よくできてます。

これが、現代のシチューになると、煮込み用に肉も選びますので、表面をリソレして焼き色をつけ、旨みは半分くらい肉の内部に残しつつ調理するようになります。
もちろん肉質も格段に良いですから煮込み時間も少なくなります。すると、昔は野菜が煮溶けることでとろみがついていたものを、ルゥで代わりにとろみをつけるようになります。
もちろん出汁も他にとったものを加えて短時間で深い洗練された味わいのシチューを作るようになりました。

こうしてみると家庭のぬくもりとか母親の優しさを想像させるような、よそ行きではない家庭料理でありながら、時間と手間暇のかかった料理であることがなんとなくしみじみと心にしみる理由なのかもしれませんね。

みなさんも今夜あたりシチュー、いかがですか?